縄文叙事詩ホツマツタヱ

検証ほつまつたゑの編集長とらさんがリリース

【ホツマの論点】六甲と七面 <111号 令和2年10月>

六甲山がセオリツ姫所縁の霊山であることは本誌73号の大江幸久氏『六甲山・瀬織津姫とワカ姫』で詳細に論じられました。本誌愛読者の中にも、六甲山(むこやま)神社(石の宝殿)と六甲比命大善神社を巡り拝んだ方がいらっしゃることでしょう。

本誌104号では「盛岡ホツマの会」の熊谷達雄氏が、遠野市早池峰神社主祭神瀬織津姫神)で「最近床下から出てきたと紹介」された絵札に女神として描かれた「六甲牛大神」の画像を御案内されました。

すなわち『セオリツ姫の ミヤビには 君も階段 踏み降りて あまさかる日に 向つ姫 ついに入れます 内宮に』ホ6 の「ムカツ姫=瀬織津姫」神が「向津」「武庫津」などと表記されていたものが「六甲」と書かれ、音読みされて「ロッコウ」と呼び慣らされて今に至ることがわかります。

さて、霊峰ハラミヤマ(富士山)を真東に遙拝する(まきむく)霊妙な地に七面山が聳えて(標高1989㍍)います。法華経信者の聖地なのですが、山頂に聖なる池があり、「池大神宮」が鎮座して、それを護持するように日蓮宗の敬慎院が荘厳な伽藍を構えています。ちなみにこの一帯は、身延山久遠寺の寺領です。

敬慎院のご本尊は紅龍の姿をした七面天女とされ、その実は吉祥天とも弁財天とも伝えられています。日蓮上人が、感得して「法華経の守護神」として尊崇しましたが、上人誕生の二百年以上前から文献上にも霊池の存在は語られ、厳島明神との関わりが指摘されています。

霊池といえば、富士講の巡礼地であり浄土宗の霊地である御前崎の桜ヶ池では、敏達天皇の御代に瀬織津姫が降臨したと伝え池宮神社が鎮座しています。ムカツ姫は滝と湖池、はたまた荒磯に縁があるのです。

七面山の神紋は、七星(丸)であり、北斗七星信仰との関わりが見逃せませんが、立地からみても、富士山を中心と仰ぎ、日の神と仰ぐ護持神であるとみて間違いありません。七星神紋を眺めると、周囲が「六角/甲」に観じられます。六甲は、中心の「日の神」を護り支え、またその霊力を発露する「お働き」を示しているのでしょう。「敬慎院」の寺号にある「慎しみ」は意味深です。命名者は「せおりつひめのつつしみ」を知っていたのでしょうか。

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とらさんが、毎年春分秋分にミネイリしている霊山、七面山の霊池についてご紹介した論考です。蓬莱山はコノハナサクヤ姫とニニキネ神(瓊瓊杵尊)の霊峰ですが、その御本体はアマテル大御神です。仏説では大日如来として鎮座されています。

まさきさき(正后)たる瀬織津姫は、隠された女神ですが、箱根の弁天社、三嶋大社摂社の滝川神社や三津の淡島(天地嶋)、美保の瀬織戸神社など周辺に祭られています。けれども何といっても、最上至高の霊地は春秋に不二山から昇る朝日が、「天下がり向かう」七面山にこそあります。