縄文叙事詩ホツマツタヱ

検証ほつまつたゑの編集長とらさんがリリース

【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜 ㉔「うましあしがい(かひ)ひこち」 <110号 令和2年8月>

縄文の教え88 より

「うましかしがいひこち」神という神格は、ヲシテ文献でも一筋では理解できない難解な存在です。

古事記では、宇摩志阿斯訶備比古遅神と表記され、八百万神に先駆け、天之御中主神高御産巣日神神産巣日神造化三神の次に生まれた神であり、次に生まれた天之常立神を加えて、別天神とされています。日本書紀本文には記されませんが、一書では、可美葦牙彦舅尊と表記され、天常立尊や国常立尊等と同格の始原神として扱われています。記紀ともに「国(大地)がまだ水に浮かぶ脂のように固まらずに漂っていたとき、アシカビ/葦牙(葦の芽)の様に萌え騰がり成った神」という解釈に拠っていると思われます。

この神名は、『ホツマ』には無く『ミカサ』の序文や、第六「タカマなる綾」に登場します。

『後 十一の君 キ・ツ・ヲ・サ・ネ ア・ミ・ヤ・シ・ナ・ウも 天に還り サコクシロにて 御言宣 みな星となす この神は ハラワタ命 御食を守る ウマシアシカイ ヒコチ神 故アメ尊 ワの尊』ミ6文

 とありますので、「キツヲサネ+アミヤシナウ」の十一神(そひ神)と同一であると理解されますが、『ホツマ』では、この「そひ神」として記述されています。

 駒形氏は「うまし+あしかひ+ひこち」と分解して考察されてます。「可美し」「葦牙」「引交ち」と読み解くと「生命力のある葦の芽のような優れた力を具有した」(神)の表現ともとれます。あるいは、「あしかひ=葦茅」とみると「水辺の葦と野山の茅それぞれの優れた性質と成長力を兼ねそえた」(神)とも理解できます。

 葦も茅もイネ科植物ですが、それぞれ「ヨシズ」や「茅葺き」など陽光を防いだり雨露を防ぐ住宅材なので、「屋敷守神」であると考えることも出来ます。「ハラワタ命 ミケを守る」とありますし、「そひ神」は「むろ(室)そひ神」とも記されますので、生活に身近な神さまです。

 ですが、「(この神は)天に還り サコクシロにて みな星となす」とあるところが重要です。

 「地にいた神が、天に還り、星となって、地の人びとの暮らしと命を守る天の神となる」とおり、「天地をめぐる」ご神格であることを見逃せません。これは、「五臓六腑/ゐくらむわた」という言葉の謎にも関わります(別の機会にふれます)が、天地や、方角や、季節のめぐりが、人体の構造に関わり、人体の構造が、宇宙の構造にまたつながる、というホツマの宇宙観に立脚しているのです。

 記紀においては、始原神として「やがて消え去る」神でしか無いのですが、ホツマにおいては「天即地即人」の巡りが本質なのです。

(駒形「ほつまつたゑ解読ガイド」参照)

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 宇摩志阿斯訶備比古遅神という神様がいらっしゃいます。始原の神で、かなり強力な神様です。
 この神様は、『この神の出現を語る「葦牙(あしかび)の如く萌え騰れる物に因りて成りし神の名は」という表現と対応している。『日本書紀』では、七通りの伝のうち三つの伝に「可美葦牙彦舅尊」と見えており、読みは訓注で「可美」を「于麻時(ウマシ)」、「彦舅」を「比古尼(ヒコヂ)」と読ませている。』(國學院データベース)。
 記紀伝承では、天地の始め頃に出現し、そのままいなくなる不思議な神なのですが、ホツマツタヱでは、その正体が、詳しく語られているのです。
 さてさて、、、

御茶ノ水で毎月開催している「はじめてのホツマツタヱを学ぶ会 はじホツ♡」の記録動画を限定公開しています。