縄文叙事詩ホツマツタヱ

検証ほつまつたゑの編集長とらさんがリリース

【ホツマの論点】 今村聰夫『はじめてのホツマツタヱ』上梓を祝う <81号 平成27年10月>

 本誌創刊から45号まで連載された「ホツマツタヱ」現代訳を、読み易く物語風に仕立て直した三分冊の第一冊目が、かざひの文庫という新進気鋭の出版社から刊行されました。「八十続五十橿八桑枝の如く」と祝詞でも永続の聖数とされる80号を刊行した本誌。その暁に生まれ落ちた希望の嬰児と言えましょう。

 本書が画期的である所以は、斯界の第一級研究者である今村氏がその蓄積された解釈能力を駆使して、しかもそれを「専門書」としてではなく「読み物」として構成したところにあると思います。

 簡潔ゆえに美しく難解で、掛詞が多用されるゆえに含蓄に富み、時代と舞台の転換が唐突ゆえに劇場的臨場感を今に伝えるのが、ホツマツタヱの原文です。ですが、それ故に古典の知識をかじるものにとってもホツマは、深い。香りは良いのに、咀嚼しづらい。

 そこに登場した本書。行間を読み取り、古代では常識であっても現代では失われた知恵を補いながら、物語としてつむいでくれたこの現代訳は、初心者のみならず、ホツマに親しむ愛好家にも新たな感動を与えてくれるでしょう。

 さらに、原文かな書きが完全に掲載されています。「読み物」として軽快に楽しみながら、気に止めた箇所では下段でその原文に当たることが出来る案配に。心を惹く小見出しとともに、ホツマツタヱのの世界に、縄文叙事詩の劇場に、やさしく読者を誘ってくれる配慮がとても有り難いと思います。

 解釈は当然ながら今村流で、「ホツマ解釈に定説なし」の現今においては、将来過誤を指摘される箇所もないとは限りません。ですが、平成の今日の最高級水準であることは、異論のないところ。一般向けに上梓された本書の意義は限りなく大きいと思います。有り難くも版元の英断で二千円を切る廉価にて「ホツマ本」が世に出ることは、「潮目を変える」可能性を意味するのではないでしょうか。

 天照大神誕生三千三百年(本誌75号千葉富三論文)慶祝の歳に、氏の長年の地道な研究が日の目を見ることに、感慨深いものを感じるのは吾人ひとりではないはずです。

後続の『地の巻』は来年春に、『人の巻』は来年夏頃に発売となる予定とのこと。三巻が揃う来夏は、松本善之助氏がホツマツタヱを再発見した年から、奇しくも五十周年を迎える期日となるのです。

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小誌に長く連載されていた今村聰夫氏のホツマツタヱ現代訳が、愚生とらさんのプロデュースで、目出度く出版されました。天地人の三巻構成を引き受けて下さったかざひの出版には、頭が下がる思いでした。

以来、9年間の月日が流れましたが、版を重ね、ロングセラーとして、ホツマツタヱの入門書、原文併記の研究書として多くのホツマ愛読者を魅了してきました。この巻頭文にあるとおり、
>界の第一級研究者である今村氏がその蓄積された解釈能力を駆使して、しかもそれを「専門書」としてではなく「読み物」として構成した< 本書は、
ホツマツタヱ普及に大きな力を発揮して下さいました。

さらに、この出版プロデュースが、翌年の「再発見50年」記者会見や、記念フォーラムのイベントへとつながっていったのでした。

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