日本人はヱビス神がことのほか大好きで、ヱビスは、神像の彫り物でもダイコクとともにダントツの人気です。記紀の記述ではダイコクとヱビスは親子とされ、どちらもふくよかな笑顔で庶民に財運豊穣豊漁をもたらす福の神。しかしながら、ホツマツタヱを知る私たちは、「恵比寿」とは「笑みす」顔のクシヒコのことであり、大黒/大国主もニニキネによる新治神都建造を差配した同人物(クシヒコ)を指す敬称であることを知っています。(ヱミス神は、ツミハ八重事代主の称え名でもある。29アヤ)
さて、ホツマ愛読者は、古社の祭神や古地名から古代の真実を探ろうと努力しますが、その際に、ある意味やっかいな存在が、このヱビス神です。ヱビス神は人気神ゆえに、各地の神社に祭られますが、その正体を、ある神社では事代主神とし、別の神社では蛭子神、あるいは少彦名命、大己貴神、大穴牟遅神などと伝承表記されています。出雲系の福徳神と評価され人気の故か、本来のご祭神をしのぐ扱いをされる場合もあります。
日本中に約三千五百社あるヱビス神社の総本社は西宮神社とされていますが、その本来の主祭神は、「蛭子(児)命」です。立地や由緒からはホツマ記述により、アマテル姉の「ワカ姫ヒルコ」であることが知られます。しかしながら、今日、西宮神社は「えべっさん」として親しまれ、ヱビスの総本山的な印象しかありません。それは、何故なのか、誰がそのように「軸をずらした」のか。興味深いところです。
ここ数年、Youtubeでは、古代史の再評価番組が人気です。かつての古史古伝ブームの再来の如く、「真実の古代史」「日本古代文明発祥の謎」が語られています。ヱビス神も注目の的で、例えば、古代パレスティナの地に文明を築いていた「ヱブス人」が、そのルーツであるとか、語られています。古代海洋民族フェニキア人に近く、イスラエルのダビデ王に敵対した多神教集団とも言われるエブス人。ユダヤ人の失地回復(レコンキスタ)を標榜するシオニズムの語源もそこにつながるとされます。彼らが日本に渡来したと。
わたしはそれらの見解を否定する者ではありませんが、「年代の先後」「征服の有無」を誤魔化さないで頂きたいと思います。本朝が連綿であり、希有の万世一系であることを見失ってはいけません。(原田峰虎
(本ブログは、no+e ブログのミラーです)
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