縄文叙事詩ホツマツタヱ

検証ほつまつたゑの編集長とらさんがリリース

【ホツマの論点】 フトマニの「ふと」 <115号 令和3年6月>

フトマニ」の語句を分解解釈してみる場合、多くの方が「ふと」と「まに」に分けて解釈を試みます。国文学における通説でいえば、「ふと」は、美称/敬称で、「まに」は、「まにまに/随々」を意味して、「神意のおもむく尽に」と云う解釈をとるようです。「太占」と漢字表記する真意も、「大いなる神の教えの随々(に従って)」と解して、「占術」における基本姿勢を表しているとみているのでしょう。

同じ語句解釈をホツマの研究者の場合、駒形一登氏では、「ふと(太・悉)」+「まに(随・兆)」と判じて、
【太兆・(万象・陽陰)】 全てを映すもの。万物万象の根源。縁起。陽陰。と、解釈されています。

 本誌に「フトマニを読む」の連載をされている平野新吉氏は、八元神が魂の緒を胎児に「含み降らせる」所の「ふ」と、天並神が人の五臓(ゐくら)六腑(むわた)を「整える」所の「と」、三十二神が人の在寿(ながらゑ)を昼夜の「まにまに」守る所の「まに」を繋ぎ合せると、「ふとまに」となり、これが「フトマニ」という占いを意味する言葉の(略)語源となった、と観ておられます。

 「ふとまに占術」を寄稿した宏道氏は、(天神タマキネが)「ふ」た神(=ナギ・ナミ)に伝授した「と」の教ヱの「まに」々、と云う解釈です。

 「まに」に関しては、解釈に通じるところがあります。その「マニ」が「摩尼」宝珠につながり、さらに宝珠の意匠(形)が、フトマニ図の「アウワ」の「宇ウ」(逆ハート)につながるとみる向きもあるようです。

 さて、問題は、「ふと」です。

 実は、この課題にフトマニの独特な記述作法である「四行書き」が関係しているとみる研究者も少なくありません。「四行書き」は、「つくもさん(九十九三)」と名付けられ、和歌の世界で密かに伝えられてきました。この書き方では、最初の「十」文字目と、後半の「十」文字目が、二行目と四行目の文頭に位置します。ふたつの「十」即ち「ふたつのト/フト」が、ここに示される訳です。歴代天皇の御製(和歌)に残された「四行書き」を発掘されてこのたび寄稿されている宮崎貞行氏も、ここに注目されています。

 「言の葉」は、「コトの端(区切り)」とも解すことができます。「九」と「十」即ち、「コト」の間には深くて暗い川が流れているのかも知れません。

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ヲシテ文字で記された古伝占い書『フトマニ』。その語源に着目した論考です。この頃は、自身で『フトマニ』の解説入門書を上梓することなど思ってもいませんでした。もしかしたら、この論考がきっかけとなっていたのかも知れません。

世界最古級の占術書である『フトマニ』は、歌占いですが、歌にこだわっているとその本質が見えません。トヨケ大神が世上に現した「モトアケ」の解読こそが、秘鍵となるのです。

筆者のフトマニ

 

 

 

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